スキップしてメイン コンテンツに移動

かかりつけ薬剤師の同意書がもらえない|要件の落とし穴とそのまま使える声かけ例

「かかりつけ薬剤師になったほうがいい」と言われても、同意書をもらうところで止まっていませんか。

患者さんに切り出しにくい。断られたら気まずい。そもそも何をどう説明すればいいのか分からない——制度は知っているのに、最初の一歩が踏み出せないという薬剤師さんは多いはずです。

この記事では、かかりつけ薬剤師になるための要件を整理したうえで、同意書をどう切り出すかを具体的な声かけの例まで落とし込みます。

まず、自分が要件を満たしているか

かかりつけ薬剤師指導料を算定するには、薬剤師本人が施設基準を満たしている必要があります。細かい数字は改定で変わるため必ず最新の告示・通知でご確認いただきたいのですが、問われる軸は毎回同じです。

  • 薬剤師としての実務経験年数
  • その薬局に継続して勤務している期間
  • 週あたりの勤務時間
  • 認定薬剤師の取得
  • 医療に係る地域活動への参画

ここで多くの方が引っかかるのが認定薬剤師地域活動です。逆に言えば、この2つを先に押さえておけば、あとは在籍期間の問題だけになります。

認定薬剤師は計画的に取るもの

研修認定薬剤師は、一定の研修単位を一定期間内に取得して申請します。単位は一朝一夕には貯まりません。「かかりつけをやろう」と思ってから始めると1年以上かかります。

まだ取っていない方は、いつ申請するかを先に決めて、そこから逆算してください。これは行動の順番の問題で、能力の問題ではありません。

地域活動は「参加した記録」が要ります

健康サポート関連の研修、学校薬剤師、地域の講座、行政や医師会との連携事業などが該当します。参加しただけでなく、記録が残っていることが重要です。日付・名称・内容を控えておいてください。

同意書の前に、やっておくこと

ここからが本題です。同意書は「お願いするもの」ではありません。お願いだと思っているから切り出しにくくなります。

実際には、患者さんにとってのメリットを説明して、選んでいただくものです。だから説明できる材料を先に用意しておくことが、いちばんの準備になります。

患者さんに伝わるメリットは3つだけ

  1. いつでも同じ薬剤師に相談できる … 毎回説明し直さなくていい
  2. 他の病院で出た薬も含めてまとめて見てもらえる … 飲み合わせを一括で確認できる
  3. 開局時間外でも連絡先がある … 夜間や休日に不安になったとき

制度の説明から入ると伝わりません。「その人にとって何が変わるか」だけを話してください。

そのまま使える声かけの例

複数の医療機関にかかっている方

「○○さん、内科と整形外科と、両方のお薬を飲まれていますよね。飲み合わせを私のほうでまとめて確認させていただく形にできるんですが、いかがでしょうか。何か気になることがあれば、いつでも私にお声かけいただけます」

いつも同じ質問をされる方

「毎回同じことをお聞きするのも申し訳ないので、私が○○さんの担当という形にさせていただけませんか。前回どうだったかを私が覚えている状態でお話しできるので、○○さんも説明し直さなくて済みます」

ご家族が付き添って来られる方

「お薬のことでご不安なことがあれば、開局時間外でも連絡先をお伝えしておく形にできます。ご家族の方も、何かあったときに聞ける相手がいると安心かと思いまして」

断られたときにどうするか

断られて当たり前です。ここを重く受け止めすぎると、次の患者さんに声をかけられなくなります。

  • 費用を気にされた場合 … 負担が増えることは正直に伝えてください。隠して同意を得ると、あとで必ず問題になります
  • 「よく分からない」と言われた場合 … その場で決めていただかなくて大丈夫です。「また次回でも」と引きましょう
  • 「他の薬局にも行くから」と言われた場合 … それでも問題ないことを説明します。誤解が理由なら解けます

一度断られた方に、次回また同じ説明を繰り返すのは避けてください。関係が悪くなるほうが損失が大きいです。

同意を得たあとが本番です

同意書をもらって終わりではありません。むしろここからが負担になります。

  • 開局時間外の連絡に対応できる体制になっているか
  • 他の薬剤師と情報を共有できているか(自分が休みの日にどうするか)
  • 記録が続けられるか

ひとりで抱え込む設計にすると続きません。薬局として仕組みを作っておかないと、担当した薬剤師だけが疲弊します。ここは管理薬剤師や経営者側が整えるべきところです。

体制が整っていない薬局にいる場合

正直なところ、かかりつけ業務は個人の努力だけでは成立しません。人員配置、時間外の対応、情報共有の仕組み。ここが整っていない薬局で無理に進めると、負担だけが自分に乗ってきます。

「かかりつけをやりたいのに、薬局として取り組む姿勢がない」と感じているなら、それは環境の問題です。在宅やかかりつけに力を入れている薬局は実際にあります。求人票からは読み取れない部分なので、そこを確認してもらえるサービスを使うと早く分かります。

PR
「かかりつけや在宅にどれくらい取り組んでいるか」「時間外対応の体制はどうなっているか」は求人票に載りません。先に確認してもらえるのが専門の求人サービスを使う利点です。
薬剤師の転職&派遣ならファルマスタッフ

まとめ

  • 要件で引っかかりやすいのは認定薬剤師地域活動。どちらも時間がかかるので先に着手する
  • 細かい要件は改定で変わる。必ず最新の告示・通知で確認する
  • 同意書はお願いするものではなく、選んでいただくもの
  • 伝えるメリットは①同じ薬剤師に相談できる ②他院の薬もまとめて見られる ③時間外の連絡先があるの3つだけ
  • 費用負担が増えることは正直に伝える。隠して同意を得ない
  • 断られて当たり前。同じ人に繰り返し勧めない
  • 同意後は薬局として仕組みを作る。ひとりで抱える設計にすると続かない

コメント

このブログの人気の投稿

管理薬剤師になるには?要件と手当の相場、引き受ける前に確認する5つ

「そろそろ管理薬剤師をやってみないか」と言われたとき、多くの人が最初に思うのは 「手当はいくらで、何が増えるのか」 だと思います。 管理薬剤師は、薬剤師のキャリアで最初に来る分岐点です。ただし 薬局によって中身がまったく違う 役割でもあります。同じ肩書きでも、実質的に店舗の責任者に近い薬局もあれば、名前だけのところもあります。 この記事では、 要件 と 実際に増える仕事 、そして 引き受ける前に確認すべきこと を整理します。 要件:資格そのものは「薬剤師であること」 管理薬剤師になるために特別な資格は要りません。 薬局の管理者は薬剤師であること が薬機法上の要件です。 ただし実務上の前提として、次の3つがあります。 その薬局に常勤していること … 週に数日だけ、という形は想定されていません 原則として他の場所での薬事に関する業務を兼務しないこと … 兼務には都道府県知事の許可が必要とされています 薬局の業務全体を把握できる経験があること … 法令上の年数要件ではありませんが、実質的な前提です つまり 「資格のハードルは低いが、拘束は強い」 のが管理薬剤師です。ここを理解しないまま引き受けると、副業や他店応援の自由度が下がって驚くことになります。 ※兼務の可否や手続きは都道府県で運用が異なります。 必ず所管の薬務担当に確認してください。 実際に増える仕事 調剤そのものは変わりません。増えるのは 調剤以外 です。 領域 内容 医薬品の管理 在庫、期限、温度管理、麻薬・向精神薬の管理と記録 従業員の監督 薬剤師・事務スタッフの業務が適正に行われているかの管理 構造設備の管理 薬局の設備が基準を満たしているかの維持 記録・手順書 業務手順書の整備と、それに沿った運用の確認 行政対応 立入検査、届出、変更手続き 意見の申述 必要なときに開設者へ意見を述べる(法令上の義務) 最後の 「開設者へ意見を述べる」 は、軽く見られがちですが重要です。人員が足りない、設備が基準を満たさない、といった状況で 会社に対して意見を述べる立場 にあるのが管理薬剤師です。ここが機能していない薬局では、問題が起きたときに管理薬剤師が矢面に立つことになります。 手当の相場 手当は 月1万円〜5万円程度 に分布していることが多く、薬局の規模...

薬剤師の転職面接でよく聞かれる10の質問|答え方の型と、逆質問で聞くべき5つ

薬剤師の転職面接は、 聞かれることがほぼ決まっています。 にもかかわらず落ちるのは、準備していないからではなく 答え方の型を知らない からです。 この記事では、 よく聞かれる10の質問 と答え方、そして 逆質問で聞くべき5つ をまとめます。 答え方の型はひとつだけ 結論 → 具体的なエピソード → だから御社で何ができるか この3つの順で話せば、たいていの質問は通ります。 逆に、エピソードから話し始めると長くなり、何を言いたいのか伝わりません。 時間の目安は 1問30秒〜1分 。それ以上は聞き手が集中を切らします。 よく聞かれる10の質問 ① 転職理由を教えてください いちばん重要な質問です。 ここで前職の悪口を言うと、その時点で評価が下がります。 NG OK 「人間関係が悪くて」「残業が多くて」 「 在宅に関わりたいと考えるようになりました。 現職では対応していないため、在宅に取り組んでいる薬局で経験を積みたいと考えています」 「逃げ」ではなく「向かう先」に言い換えてください。 事実として残業が理由でも、「腰を据えて患者さんと関わりたい」という形にできます。 ② 志望動機を教えてください その薬局でなければならない理由 を1つ入れてください。 在宅の件数、応需している科目、地域連携薬局の認定、店舗数 調べればわかることを、調べてきたと伝わる のが大事です 「アットホームな雰囲気に惹かれて」だけでは、どこにでも言えます。 ③ これまでの経験を教えてください 数字を1つ入れてください。 「1日の処方箋枚数◯枚」「在宅◯件」「薬剤師◯名の店舗で」——規模感が伝わると、受け入れ側が配置を想像できます。 ④ 得意な科目・苦手な科目は 苦手を「ありません」と答えないでください。 正直に言ったうえで、どう埋めているかを添えます。 「小児は経験が少ないので、体重換算の確認手順を自分で作って対応しています」——こう答えられると、むしろ評価が上がります。 ⑤ 調剤過誤の経験はありますか 「ありません」は避けてください。 ヒヤリハットを含めれば、経験のない薬剤師はほとんどいません。 聞かれているのは失敗の有無ではなく、 その後どうしたか です。報告した、原因を分析した、手順を変えた——ここまで話してください。 ⑥...

電子処方箋で薬局の何が変わったか|重複投薬チェックの効き方と、現場でつまずく4つ

電子処方箋は「導入したら終わり」の話に見えて、実際には 薬剤師の業務そのものが変わります 。 この記事では、 何が変わったのか を整理したうえで、 現場でつまずくところ と、 転職先を選ぶときに見るポイント をまとめます。 いつから始まったのか 電子処方箋管理サービスは 2023年1月26日 から運用が始まりました。その後も機能追加が続いています。 重要なのは、 紙の処方箋がなくなったわけではない という点です。両者は併存しています。そして、 紙の処方箋を受け付けた場合でも、電子処方箋管理サービスを介して調剤情報をやりとりできます。 ここを誤解している方が多いです。 「うちは紙だから関係ない」ではなく、紙でも重複投薬チェックの仕組みには乗ります。 薬局側に必要なもの 必要なもの 役割 HPKIカード 薬剤師が 電子署名 を行うために必要。個人に紐づくもの 顔認証付きカードリーダー マイナンバーカードでの本人確認 オンライン資格確認 資格確認の基盤。電子処方箋はこの上に乗る 電子処方箋に対応した薬局システム 処方箋の取り込み・調剤結果の登録 HPKIカードは薬剤師個人のものです。 薬局に1枚あればいいものではありません。転職して薬局が変わっても、カード自体は本人のものとして持ち続けます。 いちばん大きい変化:重複投薬・併用禁忌チェック 電子処方箋管理サービスでは、 複数の医療機関・薬局にまたがる処方・調剤の情報 をもとに、重複投薬や併用禁忌のチェックができます。 これが実務でどう効くか。 お薬手帳を持ってきていない患者さん でも、他院の処方が見える 「他には飲んでいません」という自己申告 と実際の差が分かる 他の薬局で受け取った分 も含めて確認できる これまで「聞き出す力」で補っていた部分が、仕組みで見えるようになりました。 ただし、見えるようになったぶん、 見えているのに疑義照会しなかった という状況が生まれ得ます。責任の所在が変わったとも言えます。 現場でつまずく4つ ①「処方内容(控え)」を持ってこない 電子処方箋を選んだ患者さんは、医療機関で 処方内容(控え) を受け取ります。薬局ではこの 引換番号 と被保険者番号で処方箋を取り込みます。 ところが、控えを紙と勘違いして捨ててしまう方がいます。 「...