薬剤師の求人を見ていると、正社員・パートに混じって派遣が出てきます。時給が高く見えて気になるけれど、実態が分からない——という方は多いはずです。
この記事では、薬剤師の派遣で何ができて何ができないのかを法律の線引きから整理し、選ぶ前に確認する5つをまとめます。
まず結論:働ける場所が限られます
| 勤務先 | 派遣 |
|---|---|
| 調剤薬局 | できる |
| ドラッグストア | できる |
| 企業(製薬・治験関連など) | 職種によりできる |
| 病院・診療所などの医療機関 | 原則できない |
労働者派遣法では、病院・診療所等における医療関係の業務への派遣が原則として禁止されています。薬剤師の業務もここに含まれるため、病院薬剤師としての派遣は基本的にありません。
病院派遣の例外
原則禁止ですが、次のような場合には認められています。
- 紹介予定派遣(直接雇用を前提とした派遣)
- 産前産後休業・育児休業・介護休業の代替要員
- へき地の医療機関など、政令で定められた地域・場合
「病院で派遣として長く働く」という選び方はできないと考えてください。病院を希望するなら、紹介予定派遣か、最初から直接雇用を狙うことになります。
派遣・パート・正社員の違い
| 派遣 | パート | 正社員 | |
|---|---|---|---|
| 雇用主 | 派遣会社 | 勤務先 | 勤務先 |
| 時給 | 高め | 中 | 月給 |
| 賞与・退職金 | 原則なし | 会社による | あり |
| 期間 | 契約期間あり | 更新前提 | 期間の定めなし |
| 勤務先を変えるとき | 派遣会社が探す | 自分で探す | 自分で探す |
| 管理薬剤師 | なれない | — | — |
時給が高いのは、賞与・退職金・長期の安定が乗っていないぶんです。額面だけで比べると判断を誤ります。
知っておくべきルール
① 同じ職場で3年まで
派遣には期間の上限があり、同一の組織単位で働けるのは原則3年です。それを超えて続けたい場合は、直接雇用への切り替えなどが必要になります。
「気に入ったから10年ここで」はできません。腰を据えたいなら、最初から紹介予定派遣を選ぶほうが筋が通ります。
② 30日以内の短期派遣は原則禁止
いわゆる日雇派遣は原則禁止です。ただし例外があり、次のいずれかに当たる方は認められています。
- 60歳以上
- 雇用保険の適用を受けない昼間学生
- 副業として従事する方(生業収入の要件あり)
- 主たる生計者でない方(世帯収入の要件あり)
「単発で入って稼ぐ」ができる方は限られます。要件は収入要件を含むため、登録時に派遣会社へ確認してください。
③ 管理薬剤師にはなれない
管理薬剤師は原則として他の業務との兼務ができないため、派遣という形では務まりません。逆に、いま管理薬剤師をしている方が副業で派遣に出ることもできません。
④ 直前まで勤めていた会社へは戻れない
離職後1年以内は、元の勤務先へ派遣として就業することができません。「辞めた薬局に派遣で戻る」は基本的に不可です。
派遣が向いている人・向かない人
| 向いている | 向かない |
|---|---|
| ブランクがあり、まず現場感覚を戻したい | 賞与・退職金を含めた生涯収入を重視する |
| 育児・介護で期間と曜日を固定したい | 同じ職場で長く関係を作りたい |
| いろいろな薬局を見て、次を決めたい | 管理薬剤師など役職に就きたい |
| 転居予定があり、期間が読める働き方がいい | 安定した雇用が最優先 |
「次を決めるための期間」として使うのが、いちばん噛み合います。複数の薬局を経験してから常勤先を選ぶ、という使い方です。
選ぶ前に確認する5つ
- 時給に交通費が含まれているか … 別支給か込みかで手取りが変わります
- 社会保険・有給の扱い … 要件を満たせば派遣でも有給は付与されます
- 契約期間と更新の見込み … 3か月ごとの更新なのか、期間限定の案件なのか
- 1日の処方箋枚数と薬剤師の人数 … 高時給の案件は忙しさが理由のことがあります
- 就業条件明示書の内容 … 業務内容・残業・就業場所が書面で示されます。口頭の説明と一致しているか
5番を必ず読んでください。「調剤のみ」と聞いていたのに在宅の同行が入っていた、という食い違いはここで防げます。
よくある質問
Q. 派遣から正社員になれますか
紹介予定派遣という仕組みがあります。一定期間働いてから双方が合意すれば直接雇用に移ります。職場を見てから決められるのが利点です。
Q. 時給はなぜ高いのですか
賞与・退職金がない、契約期間が区切られている、急な欠員を埋める案件がある——といった理由です。年収で比べると逆転することがあります。
Q. ブランクがありますが登録できますか
できます。ただしいきなり1人薬剤師の案件は避けてください。複数体制で、レセコンの種類を確認したうえで入るほうが安全です。
Q. 派遣会社は複数登録してもいいですか
問題ありません。ただし同じ案件に重複して応募しないよう、紹介された薬局名は自分で管理してください。
まとめ
- 薬剤師の派遣は薬局・ドラッグストアが中心。病院・診療所は原則禁止
- 例外は紹介予定派遣・産休育休介護休の代替・へき地など
- 同一組織単位は原則3年まで
- 30日以内の日雇派遣は原則禁止(60歳以上・昼間学生・副業・主たる生計者でない方は例外)
- 管理薬剤師にはなれない。離職後1年以内は元の勤務先へ戻れない
- 確認するのは交通費・社保と有給・契約期間・忙しさ・就業条件明示書
PR
派遣を検討するなら、派遣と紹介の両方を扱っている会社のほうが選択肢が広がります。「まず派遣で3か月見て、合えば直接雇用へ」という進め方ができるからです。逆に派遣しか扱っていないと、常勤に切り替えたいときに一から探し直しになります。登録の段階で紹介予定派遣の実績があるかを聞いてみてください。
薬剤師の転職&派遣ならファルマスタッフ
![]()
コメント
コメントを投稿