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疑義照会が苦手な薬剤師へ|電話前に確認する4つと、医師に伝わる話し方の型

「この処方、たぶん大丈夫だと思うけど……」

そう思いながら、結局そのまま調剤してしまったことはないでしょうか。あるいは逆に、疑義照会の電話をかけたものの、うまく伝わらずに気まずい空気になってしまったこと。疑義照会が苦手だという薬剤師さんは、想像よりずっと多いです。

この記事では、電話をかける前に確認しておく4つと、医師に伝わる話し方の型を整理します。技術というより、順番の問題です。

そもそも疑義照会は義務です

薬剤師法第24条は、処方箋に疑わしい点があるとき、その処方箋を交付した医師等に問い合わせて疑わしい点を確かめた後でなければ調剤してはならないと定めています。

つまり疑義照会は「気になったらやってもいい行為」ではなく、疑わしい点がある以上やらなければならない行為です。ここを自分の中で固めておくと、電話をかけるときの心理的な負担がかなり軽くなります。遠慮して確認しないという選択肢は、そもそも制度上ありません。

電話をかける前に確認する4つ

照会が伝わらない原因のほとんどは、話し方ではなく準備不足です。受話器を取る前に、この4つを手元にそろえてください。

  1. 何が疑わしいのかを一文にする … 「用量」「相互作用」「重複」「日数」「規格」「投与経路」のどれなのか。ここが曖昧なまま電話すると、話しながら考えることになります
  2. 根拠を1つ用意する … 添付文書の記載、併用禁忌の組み合わせ、前回処方との差分。「なんとなく多い気がする」では医師も判断できません
  3. 患者さんの情報を手元に置く … 体重、腎機能、他科の処方、アレルギー歴、前回までの経過。医師が真っ先に聞き返してくるのはここです
  4. 代替案を考えておく … 「この用量では」で終わらせず、「◯◯mgへの変更でよろしいでしょうか」まで。判断の材料を渡すと、話が一往復で終わります

4つ目がいちばん効きます。 医師は外来の合間に電話を受けています。問いだけを渡されるより、選択肢を添えられたほうが早く終わる、というだけの話です。

伝わる話し方の型

順番はこれで固定してしまってかまいません。

①名乗る「◯◯薬局の薬剤師の△△と申します。□□様の処方箋の件でお電話しました」
②結論「◯◯の用量について確認させてください」
③根拠「添付文書では腎機能に応じた減量の記載があり、前回の検査値が…」
④提案「◯◯mgへの変更ではいかがでしょうか」
⑤確認「◯◯mgへ変更、で承知しました。処方箋に記載いたします」

②を先に言うのが要点です。経緯から話し始めると、医師は「で、何が言いたいのか」を探しながら聞くことになります。結論を先に置いて、根拠を後から足す。 それだけで通り方が変わります。

言い方に迷ったときの3パターン

用量が気になるとき
「◯◯の1日量について確認させてください。□□様は腎機能が△△で、添付文書上は減量の対象に当たるように読めました。◯◯mgへの変更ではいかがでしょうか」

重複・相互作用のとき
「他院で◯◯を服用中とお薬手帳にありました。今回の△△と併用の注意がありますので、確認をお願いできますでしょうか」

単純な記載漏れのとき
「用法の記載が読み取れませんでした。1日3回毎食後、で間違いないでしょうか」

単純な記載漏れは、遠慮せずいちばん短く聞いてください。長い前置きをつけるほうがかえって時間を奪います。

照会したら必ず残す

回答をもらったら、処方箋への記載と薬歴への記録を必ずセットで行ってください。

  • 処方箋に、変更内容・回答した医師名・日時
  • 薬歴に、なぜ照会したのか(気づいた根拠)と、どう回答されたか

「なぜ照会したのか」を書き残しておくと、次に同じ患者さんを担当する薬剤師が同じ照会を繰り返さずに済みます。記録は自分のためではなく、次の人のためのものです。

よくある質問

Q. 疑義照会したら医師に嫌がられませんか
根拠のある照会で不機嫌になる医師は、実際には多くありません。嫌がられやすいのは、根拠がない照会、代替案がない照会、そして同じ内容を毎回繰り返す照会です。

Q. 医師と連絡がつかないときは
確認が取れない以上、調剤はできません。患者さんには理由を説明し、待てる範囲であれば待っていただく、難しければ後日の対応を相談する。判断を一人で抱えず、管理薬剤師に必ず共有してください。

Q. 形式的な変更もすべて照会が必要ですか
一部の軽微な変更は照会不要と整理されていますが、その範囲は運用や解釈で差があります。自分の薬局のルールがどうなっているか、必ず管理薬剤師に確認してください。

まとめ

  • 疑義照会は薬剤師法上の義務。やるかどうかを迷う場面ではない
  • 電話の前に「疑問点の一文化・根拠・患者情報・代替案」の4つをそろえる
  • 話す順番は 名乗る→結論→根拠→提案→確認 で固定する
  • 照会したら処方箋と薬歴の両方に残す。理由まで書くと次の人が助かる

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なお、疑義照会をしやすいかどうかは、実は個人の性格より職場の空気に左右されます。照会を歓迎する薬局と、露骨に嫌がられる薬局が現実に存在します。ただ、これは求人票には一切書かれません。転職サイトの担当者は薬局ごとの内情を持っているので、面談で「疑義照会の頻度と、医療機関との関係」を聞いてみると判断材料になります。
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